インクルージョン(Inclusions) - 内部特徴
ダイヤモンドの内部特徴を表すインクルージョン
インクルージョンとは、完全にダイヤモンドの内部にある、または表面から内部へ入り込んだ特徴のこと。
ダイアグラムにインクルージョン項目を記入する場合は、「赤色」のインクを使用して位置と大きさを示す。*キャビティなど一部のインクルージョンは「緑色と赤色」の両方を用いる。 ダイヤモンド特有のインクルージョンは、ダイヤモンドと類似石の判別にも役立ちます。また、インクルージョンの種類と位置、大きさにより、それぞれのダイヤモンドを個別に識別すること可能になります。
- フェザー(Feather : Ftr)
- フェザーとは、ダイヤモンドに生じる「クリベージ」と「フラクチャー」の2種類の割れを表すために使われる言葉。 クリベージとは、結晶方向に平行な割れのこと。ダイアモンドは八面体方向にクリベージを持つ鉱物です。フラクチャーは、劈開方向以外の割れのこと。赤線でサイズと位置、形を記入する。
- インクルーデット クリスタル(Crystal : Xtl)
- ダイヤモンド内部に含まれたダイヤモンドやその他の鉱物体。最も見かけるのは透明または黒色(カーボンと呼ばれる)小さな結晶ですが、ごく稀に色付きのオリビンや赤色系のガーネットが内包物として確認できる場合もあります。 内包結晶は、大きくない限り美しさに対する影響は少なく、耐久性を損なうことはありません。大きさを合わせて赤色で輪郭を記す。
- ピンポイント(Pin Point : PP)
- 非常に小さな白色の結晶結晶。 10倍の倍率で観察した際に、小さな点に見えるインクルージョン。ピンポイントは、1個単体で存在する場合と、グルーブで確認できる場合がある。小さな赤色の点で位置を示す。
- クラウド(Cloud : Cld)
- ダイヤモンド内部にみられる全ての乳白色の曇り。通常クラウドは、非常に小さなピンポイントの集合体で、雲のように見える。ダイアグラムへは、赤色インクでクラウドの見える位置に薄い点で囲む。
- ノット(Knot : K)
- 研磨面(表面)まで達した内包結晶。大きさを合わせて、緑色の輪郭の中に同じ赤色の輪郭で記入する。
- ブルーズ(Bruise : Br)
- ブルーズ(またはパーカッションマーク)は、強い衝撃によりダイアモンド表面にできるクリベージを伴う表面の砕け、またはくぼみのことで内部に入り込むのでインクルージョンとして分類される。サイズは様々で、小さなフェザーに囲まれることもある。発見した位置に合わせて赤色でブルースのシンボル「 x 」を記入する。
- インターナルグレイニング(Internal Graining : IntGr)
- インターナルグレイニング(トゥイニングウィスプとも呼ばれる)とは、ダイヤモンド内部の不規則な結晶成長の跡のこと。無色のグレイニングはクラリティグレードに影響を与えないが、白色や色付き、または反射するグレイニングはグレードに影響する。
- キャビティ(Cavity : CV)
- キャビティは、ダイアモンドの位置にかかわらず、大きな穴、または深いくぼみのこと。フェイスアップでは見えないパビリオンに見られる場合があります。 キャビティは、良く研磨することで取り除けますが、引き換えにダイアモンドは多くの重量を失い(小さくなり)ます。 キャビティは、大きさを合わせて、緑色の輪郭の中に、赤色の平行線を記入する。
- チップ(Chip : Ch)
- 通常はガードルエッジにある小さな欠け、または浅い穴のこと。チップは打撃に対して弱いガードルに沿って生じることが多い。
- インデンテッド ナチュラル(Indented Natural : IndN)
- カット済みダイヤモンドの研磨面より、内部に入り込んだ原石(結晶)時の表面(肌)。インデンテッド ナチュラルは、上記「キャビティ」に似ることが良くあり、グレーディング作業では同じ影響としてとらえます。
シンボルの記入方法は、外側は赤色で、内側は緑色の2重線で表します。 - ニードル(Needle : Ndl)
- 細長い棒状の内包結晶。
- トゥイニング ウイスプ(Twinning Wisp : W)
- 育成途中の結晶のゆがみにより生じた曇り。通常は双晶面を伴うことが多い。
薄い実線に、数カ所きざみを入れて表す。 - レーザードリルホール(Laser Drill Hole : LDH)
- レーザー光線でダイヤモンド内部にまで穴を開け、目立つインクルージョンを処理するクラリティ改善を目的とした人為的作業。 通常レーザードリルホールは、フェイスアップ側からの印象を優先するため、裏となるパビリオン側からレーザーでダイアモンドに穴を開けます。プロット図へは対応する位置へ緑色の丸に赤色の中心点で表します。
- *グレイン センター(Grain Center : GrCnt)
- 結晶構造の歪みが集中した部分。ピンポイントを伴う場合が多い。*使用されることの少ないシンボルです。
多くのインクルージョンは、肉眼で発見するのが困難な大きさです。また、破損につながるインクルージョンも多くはありません。 地球のマントル内という過酷な環境で生まれたダイヤモンドには、理想の結晶構造とは異なる、不完全さ、いわゆる「キズ」は含まれす。
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