落ち着きのある青紫色の宝石アイオライト

アイオライト（IOLITE）　鉱物名：コーディエライト（CORDIERITE）

サファイアに似た、落ち着きのある青紫色の宝石。

初めて聞く宝石名かもしれませんが、バイオレット・ブルーの色合いと、アイオライト独特の多色性に魅了されるでしょう。

宝石言葉：自己同一性
宝石の力：目標に向かって進む、理解力を高める
21年目の結婚記念石

アイオライトのものがたり <ヴァイキングの羅針盤>: 「ヴァイキングの羅針盤」と呼ばれたアイオライト。　北欧ヴァイキングが雲や霧に隠れた太陽の位置を確かめた（偏光板として利用）と伝わります。または、アイオライトの多色性から、雲や霧(淡い灰色)が晴れて青空(青色)が見えるように、航海の安全を願うお守りにも。

アイオライトの色と特徴

アイオライトは一方からは青く見えますが、角度を変えると淡い灰色や水色に見える宝石です。

色が最も美しく見える方向は、柱状結晶の伸長方向（c軸）から観察した時。角度を変えて結晶の垂直方向から観察すると、無色かごく淡い黄灰色に見えて別物を見ているような感じです。

この見る方向で色が変わる多色性が、アイオライトの大きな特徴です。

名前の由来: ギリシア語のバイオレットを意味するios（イオス）と石を意味するlitos（リトス）が由来。イオライトとも表記されます。; ２色の石という意味の「ダイクロアイト」の別名もありますが、実際には3色の色が見える宝石です。; 鉱物名のコーディエライトは、フランスの地質学者のコルディエの名前から付けられました。日本（和名）では、菫青石（きんせいせき）と呼ばれます。また、偽名（フォルスネーム）として、サファイアと同じ川床から発見されることに由来し「ウォーター・サファイア」という名で呼ばれることもあります。サファイアとは異なる鉱物なので注意が必要です。

アイオライトの鉱物データ

アイオライトは三色性の鉱物です。

化学組成 :Mg₂Al₄Si₅O₁₈
結晶系 : 斜方晶系
光学特徴 : DR　2軸性ネガティブ
屈折率 :1.542～1.551（+0.045、-0.0.11）
複屈折 : 0.009
紫外線蛍光 : 不活性
色因 : 鉄
比重 : 2.61（±0.05）
クリベージ : １方向明瞭
モース硬度 : 7～7.5
靱性 : 可

処理: アイオライトは、通常は加熱や放射線処理の心配のない宝石。
宝石鑑定士の目線肉眼で確認できる強い多色性: 見る方向を変えて観察すれば、サファイアかアイオライトを見分ける大きな手掛かりとなります。
レピドクロサイト・インクルージョン: 特徴的なインクルージョンは、結晶の主軸（c軸）方向に沿った赤色のレピドクロサイト・インクルージョン。多く含むものは、赤みが加わり「血走った」という意味の「ブラッド・ショット・アイオライト」と呼ばれます。

ご自身で宝石を楽しむためのアトリエトントンからのアドバイス

ジュエリー用の宝石としてはもちろん、鉱物コレクターにも人気です。
ジュエリー用には透明度が高く、フェイスアップで美しいバイオレット・ブルーの宝石を選びましょう。

アイオライトの多色性を確認して、色のコントラストが強いものを選ぶと楽しめます。
通常、サファイアよりお手頃価格です。

お手入れ: 普段のお手入れは柔らかい布でからぶきするだけで十分です。; 汚れがひどく洗浄する場合は、排水溝に流さないよう洗面器にぬるま湯をためて、やわらかい歯ブラシなどで優しく洗って下さい。

超音波洗浄機 : 危険
酸 : 危険
温度変化 : 熱に弱い。急激な温度変化にも注意。
ぬるめの石鹸水 : 安全

＊他の宝石とぶつけず、強い衝撃は加えないように注意しましょう。

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