オパール OPAL
オパール 鉱物名:OPAL
古代ローマの博物学者プリニウスは、オパールについて「微妙なルビーの火、アメシストの閃光、エメラルドの海の緑を見せ、渾然一体となって信じられないような光彩がある」と褒めたたえました。
オパールは結晶構造を持たない非晶質の宝石です。イメージとしては、乾燥材の「シリカゲル」。歴史的な産地は、現在のスロバキア。近年はオーストラリアとメキシコ等から産出します。虹色に輝くオパールは、カボション・カットに、その他のオパールはファセット加工が一般的。
- 誕生石 : 10月
- 星座石 : 座
- 宝石言葉 : 希望、無邪気
- 宝石の力 : クリエイティブな活動
- オパールのものがたり
- 古来オパールは価値の高い宝石であると同時に、心を惑わす美しさで人々を魅了してきました。
- 国外追放よりも大切なオパール
- 古代ローマ時代、アントニウスが妻のクレオパトラにオパールをプレゼントしようと考え、元老院議員ノニウスに譲るよう頼みました。しかし、ノニウスはそれを断り、怒ったアントニウスはノニウスをローマから追放。彼はオパールの指輪だけを持って逃げたと伝わります。
- 小説に登場したオパール
- 19世紀のヨーロッパでは「不幸をもたらす宝石」と呼ばれたオパール。きっかけは、当時人気の小説が原因とのこと。しかし、イギリスのビクトリア女王は不吉な風評を無視してオパールを愛し続け、オパールの人気復活に一役買いました。
オパールの色と特徴
オパールは内部に虹を閉じ込めたようなオパールと、単色のオパールの2種類に分類されます。
- 遊色効果(プレイ・オブ・カラー)
- 虹を閉じ込めたようなきらめきの変化を、遊色効果(プレイ・オブ・カラー)と呼びます。また、遊色効果のことを「斑(ふ)が出る」ともいいます。 遊色効果を持つオパールは、ブラック、ホワイト、ウォーター、ファイア・オパール。
- 単色のオパール
- 遊色効果のないオパールを、コモン・オパール(Common Opal)と呼ぶ。ブルーやピンクでオパール本体の色を楽しみます。
- ブラック・オパール
- もっとも人気のオパール。ボディカラーが暗い青や灰色で、黒っぽく見えるのでブラック・オパールと呼ばれます。赤色の斑が出るものが高価です。1902年にオーストラリアのライトニングリッジで発見されるまで、ブラック・オパールの存在は知られていませんでした。斑の色は、赤、橙、緑、青の順に評価が高くなります。
- ホワイト・オパール
- ボディカラーが白いオパール。オパールのことを、蛋白石と日本語で表記するのは、卵の白身ようなホワイト・オパールから。福島県でも産出したようです。
- ボルダー・オパール
- オパール層が薄いために、母岩と一緒に研磨されるオパール。母岩によって、外形はそれぞれ異なります。 ファイヤー・オパールやウオーター・オパールと比較すると、脱水によるひび割れを起こしにくい。ボルダー・オパールは、張り合わせ加工ではなく母岩と一緒に研磨されます。横から見るとオパール層と母岩の境目が波打ち、張り合わせ石のような直線ではありません。衝撃に対しては、他のオパールと同様に注意してください。
- ファイヤー・オパール(メキシコ・オパール)
- ファイヤー・オパールは水分量が多く、比重が軽くなります。炎が石の中に閉じ込められているように光がゆらぎます。遊色効果のある宝石と、ないものが存在します。*メキシコ・オパールといった場合、ファイヤー・オパールとウォーター・オパールを指す場合もあります。
- ウォーター・オパール(メキシコ・オパール)
- 水の中に閉じ込められた七色の輝き。透明度が高くなると、斑の出方が弱まります。メキシコで産出するオパールの中で、赤・橙・黄・緑色といった斑が出る遊色効果があり、ボディ・カラーが無色透明のものを、ウォーター・オパールと呼びます。
- コモン・オパール
- 遊色効果のないオパール。ブルーやピンク色など。
- 名前の由来
- 貴石を意味するサンスクリット語のウパラ(upala)から転じた、ローマ語のオパルスに由来。日本語では、蛋白石(たんぱくせき)と呼びます。遊色効果の少ないホワイト・オパールが、ゆで卵の白身のように見えることから付いた名前です。
鉱物データ
結晶構造を持たない非晶質のオパールは、堆積作用によって作られる鉱物。水晶やメノウと同じ二酸化珪素を主成分としますが、水分を含みます。化石がオパール化したものもあります。
- 化学組成 : SiO2・nH2O(通常3~10%の含水重量)
- 結晶系 : 非晶質
- 光学特徴 : SR
- 屈折率 : 1.450(+0.02、-0.08)メキシコ産は低い数値
- 紫外線蛍光 : 燐光を示すものもある
- 比重 : 2.15(+0.08、-0.90)
- モース硬度 : 5~6.5
- 靱性 : 不可
- 処理 - 含浸処理
- 研磨加工の耐久性向上やひび割れ防止のために行われる。有色の着色剤が使用される場合もある。
- 処理 - 着色処理
- 砂糖液を使用してボディーカラーを黒色化する。有色樹脂で色を付けることもある。
- 張り合わせ
- 薄いオパールの層を、石英などの板に接着したもの。片面だけのダブレットや、両面から挟み込んだトリプレットがある。
- 宝石鑑定士の目線 1960年に発見された、虹色のきらめきの原因
- オパールの虹色のきらめきの原因は、規則正しく並んだ球状粒子による光の回折現象です。粒子の球の大きさによって、光の波長(色)が変わります。
直径が大きいと、赤色に。小さいと青紫色。中間の大きさでは、緑色に見えます。
ご自身で宝石を楽しむためのアトリエトントンからのアドバイス
遊色効果をもつオパールに共通する選び方のポイントは、七色の輝きの強さです。見る方向にによって輝き方が変化するため、オパールを回転させていろいろな方向から斑(ふ)の出方を確かめます。
透明度が高く、発色の鮮やかなものを選ぶとよいでしょう。
色調と色の配置はお好みで。気に入った柄が見つかったら迷わず手に入れたいものです。二度と同じ石には出会えませんから。
- お手入れ
- オパールは乾燥と衝撃に弱い、とてもデリケート宝石。
取り扱いには注意が必要です。超音波洗浄機等は避けて、きれいな布で優しく拭いてください。炊事・洗濯の時も使用は控えましょう。
- 超音波洗浄機 : 危険
- 熱 : 危険
- 化学薬品 : 溶剤などの注意
- ぬるめの石鹸水 : 通常安全
通常は柔らかい布でから拭きするだけで十分です。
モース硬度が7以下なので、砂埃でも傷が付く場合があります。から拭きする際には必ずホコリや砂の付着していないきれいな布で優しく拭いてください。
極端に乾燥するところや、直射日光があたるところに置くのは避けましょう。
他の宝石とぶつけず、また強い衝撃は加えないように注意してください。
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